Agri Navi

水稲・麦・大豆などをご案内します

今月の農業(2023年1月)

令和5年稲作のスタートに向けて

 毎年、農林水産省からは将来の農政の方向性をふまえた農業技術の基本が示されています。
 国の政策における水田作においては、主食用米の需要減少が進む中、引き続き需要に応じた生産を進めることが重要であり、麦、大豆や高収益作物等への転換進めるとともに、これらの品目の生産性向上と高付加価値化を推進するとされています。
 さらに、食品の安全性や信頼の確保に向けて農薬の適正使用の徹底やGAPの実践等、トレーサビリティー確保に資する収穫物の区分管理や出荷記録の記帳・保管等の取り組みを推進するとされています。
 一年の初めにあたり、これらの内容を確認し、これからの農業の方向性を皆さんで考えてみましょう。

Ⅰ.水 稲

 平成25年6月14日に閣議決定された日本再興戦略及び農林水産業・地域の活力プランにおいて「今後10年間で、担い手の農地利用が全農地面積の8割を占める農業構造の確立」及び「資材流通面での産業界の努力を反映して担い手の米生産コストを現状の全国平均と比べて4割削減」との目標が設定されました。このことを踏まえて、水稲においては加工・業務用ニーズへの対応を強化するとして次のような項目が示されました。
(1)業務用・加工用・輸出用ニーズへの対応
 中食・外食用、加工用、輸出用等の用途別需要に求められる価格・品質条件を満たし、かつ収益が得られる多収低コスト品種技術を開発・普及するということが示されています。
(2)米の低コスト生産体制の確立
 ニーズに応じた多収品種の活用や、作期分散、水稲直播栽培・密播育苗等の省力技術、スマート農業技術を活用した効率的な作業管理、高性能機械・施設の導入、籾殻等の資源の有効活用の推進が示されています。さらに、大規模乾燥調製施設の再編整備や運営管理体制の見直しが示されています。
(3)輸出米・米粉用米・飼料用米等の低コスト生産
 水田の活用を推進する観点からこれらの需要に応じた生産拡大を推進するとともに、生産コスト低減に向けた多収品種導入、スマート農業による省力技術の導入、耕畜連携による堆肥利用等をすすめ、加工品の差別化やブランド化を進めるとされています。

Ⅱ.麦 類

 実需者ニーズに応じた良質品種の導入促進、地域の条件に応じた輪作体系の最適化等により地力維持を推進し、収量・品質の高位安定化を図るとされています。
 また、需要・用途に応じた生産対応や実需者との連携をさらに進め、産地自らの需要開拓による計画生産を推進するとされています。
(1)パン・中華麺用途への供給拡大
 地域の製粉事業者や製麺・製パン事業者との実需者と連携し、品種特性に応じた加工方法の改良や新製品の開発等が示されています。
(2)大麦・はだか麦の安定供給
 これらの麦類は、用途別の特性が高く収量性の優れた良質品種への転換等によって、単収・品質の高位安定化を図り、実需者に対する安定供給体制を強化するとされています。また、健康志向の消費者から大麦に多く含まれる食物繊維(β―グルカン)が注目されており、これを多く含む国産もち性大麦品種の開発・普及により新たな国産大麦の需要拡大を図るとされています。

Ⅲ.大 豆

 大豆は気象等による収量の変動が大きいことから、安定した生産・供給の確保が重要となっています。このため、湿害軽減対策等による作柄の安定化、地域の条件に応じた輪作体系の適正化や有機物施用による地力向上対策を進めるとともに、実需者ニーズに即した生産・供給体制を推進することが示されています。
(1)単収の向上・安定化
 圃場条件に応じて、播種時期の湿害を回避する耕起・播種技術(いわゆる「大豆300A技術」)、営農排水対策、地下水位制御システムの導入等が示されています。
(2)実需者ニーズに即した戦略的な品種開発・普及
 国産需要の確保に向けて育成段階から実需者のニーズを適切に把握しつつ、広域適応性のある品種を開発し、実需者ニーズに即した戦略的な品種の開発・普及により、国産大豆の需要を確保・拡大することが示されています。

排水対策

●麦類は、出穂後に湿害にあうと品質が著しく悪くなります。降雨後の表面水が畦面に1日以上滞留しないよう排水対策を徹底しましょう。特に、積雪の後は融雪水がいつまでも残ることのないよう注意してください。

施  肥

●12月~1月の追肥がまだの場合には遅れないよう施用してください。(元肥に「麦パンチ」「麦将軍」「麦用セラコートR2500」を基準通り施用した場合には今回の追肥は不要です)
●穂肥の時期は、小麦「びわほなみ」は2月上中旬です。大麦「ファイバースノー」・ビール麦「ニューサチホゴールデン」は2月下旬です。

除  草

◎MCPソーダ塩
 カラスノエンドウ・スズメノエンドウ等が毎年多発する圃場では、MCPソーダ塩が効果的です。使用時期は、麦の幼穂が約1㎜、草丈20~25㎝位の頃です。分げつを抑制する効果があるので、茎数を確保してから散布してください。小麦の生育が平年並みの場合には2月末~3月上旬頃に、雑草によくかかるように散布してください。(雑草発生前では十分な効果が期待できません)また、散布直後に降雨にあうと効果が低下します。高温、晴天時に散布すると効果的です。
◎ハーモニー75DF水和剤
 スズメノテッポウ、1年生広葉雑草などに効果的です。ハルタデ防除の散布適期は小麦の幼穂形成期~穂ばらみ期です。小麦の生育が平年並みの場合には2月末~3月中旬頃です。播種時にハーモニー細粒剤Fを使用した場合にはこの薬剤は使用できません。
◎バサグラン
 イネ科をのぞく1年生雑草に適用、雑草3~6葉期が散布適期です。
*農薬は容器のラベルにある記載事項をよく読み、正しくご使用ください。
*詳しくは、令和5年産栽培暦・資材申込書をご参照ください。また、当JA担当者にお気軽にご相談ください








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