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今月の農業(2023年2月)

水稲

今年の稲作の重点対策…

昨年の稲作を振り返り改善点をみつけましょう

 今年度の稲作がいよいよ本番です。昨年の反省点をまとめて、今年の計画を立てることが重要です。始めに、生育、収量、品質などの主な結果について、良かったこと、良くなかったことを大筋でまとめてみましょう。

Ⅰ.チェックポイント

「生育の状況」
●育苗の状況(根張り・苗の伸び・カビなどの発生状況)は?
●移植時の植え傷みや欠株の発生は?
●分げつ発生の状況および最終的な穂数は?
●倒伏の状況は?
●雑草発生は?
●病害虫発生は?
「収量の状況」
●地域の作況や平年収量と比較しての増減は?
●穂数の確保や登熟の状況は?
●圃場による収量の変動は、周辺と比較してどうであったか?
「生産した米の品質」
●等級は想定通りであったか?
●等級低下の原因は?
●玄米タンパク含有率、アミロース含有率、食味値は?

Ⅱ.対応策の検討

「作期・品種選択」
●収穫作業・乾燥調製作業が込み合った場合、品種の選定や植え付け時期の比率を工夫してみましょう。
●収量や品質が十分でなかった品種や作期があった場合、気象条件や栽培条件が品種に適しているか検討してみましょう。
「土作り」
●高温障害が顕著な圃場や幼穂形成期から出穂期頃に肥効が続かない圃場については、堆肥やケイ酸の施用を増やすとともに穂肥の追加施用を検討しましょう。
●倒伏した圃場では、肥培管理に留意するとともに倒伏に強い品種への変更を工夫してみましょう。
●土壌中の成分が基準を達成しているか土壌診断を実施しましょう。
「本田準備」
●田面が不均平な場合には、雑草の発生が多くなったりするので、レベラーの利用や代かき時の均平に留意しましょう。
●水持ちの悪い圃場では、水口・水尻の確認や、畔塗などの漏水対策を万全に行いましょう。砂地の地帯などで田面水が縦浸透するような場合には代掻きの後、一度水が引いてから再度代掻きを繰り返すなど、丁寧な作業を工夫してみましょう。
「育苗」
●根張り・苗の伸び・カビの発生などの異常があった場合、育苗ハウスの温度管理、換気、潅水条件や培土の成分を確認してみましょう。
●植え傷みを生じた場合には、苗の状態や田植日の気象条件(気温・風等)について再検討してみましょう。
●病害発生については、使用農薬や育苗条件(温度・水分等)を再確認しておきましょう。
「田植」
●移植作業で欠株が多かった場合、田植機の植付爪などの摩耗、箱当りの播種量、発芽本数などを点検してみましょう。
●疎植栽培の導入により減収、倒伏などを生じた場合、施肥量、作期、品種、栽植密度の組み合わせをチェックしましょう。
「施肥」
●玄米タンパク含有率が基準値を超えた場合には、穂肥の時期や施用量を再検討してみましょう。
●倒伏が生じた場合、元肥量、葉色や茎数に適する穂肥の施用時期・施用量を検討してみましょう。
●幼穗形成期から出穂期の葉色が基準値からずれた場合、元肥や穂肥の量と施肥時期について検討しましょう。
●一発肥料を用いて、葉色の推移が適切でなかった場合、想定されている肥効期間を再確認して、適当な肥効が期待できる肥料の利用を検討しましょう。
「水管理」
●過剰分げつを生じた場合、早期中干しや深水管理による分げつ抑制のための管理を徹底しましょう。
●早期落水による登熟不良(いわゆる枯れ熟れ)を生じた場合、出穂前後3週間は入水できるよう、中干を徹底したうえ、収穫前までできるだけ遅くまで入水できるよう水利条件を整備しておきましょう。
●コンバイン収穫時に土壌が軟弱であった場合には、溝切・中干しの徹底や間断かんがいを行いましょう。
「雑草・病害虫管理」
雑草管理
●除草剤を基準通り施用したにもかかわらず残草が多かった場合には、除草剤散布のタイミングや水管理が適切であったか確認してみましょう。
●除草剤の薬害は生じた場合、薬剤の特性や除草剤散布時の苗の状況、気温・水温などが適切であったかを確認してみましょう。
病害虫管理
●平年と病害虫発生が異なった場合、その原因を探り、防除剤変更の必要性を検討してみましょう。
●適期の病害虫防除ができず病害虫被害が拡大したと思われる場合には、圃場観察や発生予察情報の収集をこまめに行うように心がけ、早期発見・早期防除に努めるようにしましょう。
*対応策の詳細は、「令和5年産米JAグリーン近江栽培ガイドライン・生産資材申込書」に記載しています。詳しくは各営農振興センターの担当職員にお気軽にご相談ください。

今できることを徹底しましょう

水田には堆肥を入れよう
 水田の土づくりの基本は、「有機物を補給すること」「稲に必要な養分をバランスよく蓄えること」「根張りをよくすること」です。堆肥や「とれ太郎」などの土づくり肥料を施用し、深耕を行いましょう。深耕の目標は15㎝以上です。
 堆肥の毎年の散布適量は、通常1~2t/10a位です。㈱グリーンサポート楽農では、堆肥散布の作業を実施しています。詳しくは、当JA営農振興センターへご相談ください。
「とれ太郎」等の土づくり肥料を散布しよう
 健全な生育を促進し、米の食味向上を図るためには、「とれ太郎」等のりん酸、ケイ酸、鉄分、苦土、石灰などの養分をバランス良く補給することが重要です。特に石灰は、カドミウムの吸収抑制対策としても重要です。「おいしい米づくり」とともに「安全・安心な米づくり」対策としても土づくり肥料を施用しましょう。 散布時期は、秋耕起前に散布すると省力的ですが、まだ散布できてない場合は、春耕起前に散布しましょう。 「とれ太郎」の施用量は10aあたり80㎏が標準です。
 JAグリーン近江では、土づくり肥料散布用のブロードキャスタを装着したトラクタを各営農振興センターに準備していますのでご希望の方は、ご相談ください。
耕起は15㎝以上に、稲わらはよく腐らせる
 耕起作業は、土を砕く、前作物残渣や雑草をすき込んで腐熟を促進させる、通気性・保水性を良くする、有機態窒素を無機化させる(乾土効果)等の効果があります。また、深耕は胴割粒の発生を少なくする効果もあるといわれています。
 プラウで反転耕を行い、表面の土が良く乾いたときにロータリ耕を行うのが理想です。雑草の発生を抑制するためにも深耕は効果的です。
畦塗り
 水もちが悪いと肥料や農薬成分が流亡しやすく、肥料や除草剤の効果が悪くなるばかりか環境にも悪影響を与えます。
 畦塗りは、土壌に適度な水分のある時期を見計らって実施しましょう。畦を長持ちさせるためには、畦塗り機の走行速度を遅くし土を十分にたたきつけることと、畦の土が乾燥してしまわないよう早めに湛水し、畦の乾燥・ひび割れを防止することが大事です。
雑草防除…除草剤のキキメは「散布時期・散布量・水管理」がキメテ
 雑草防除は、雑草の種子や越冬する雑草の塊茎などの出芽を抑えることが基本です。
 秋耕や冬耕を繰り返すと、雑草種子や塊茎などが乾燥・凍結したり、地下深く埋め込まれて出芽数を抑えることができます。
 除草剤の包装容器には、水稲の移植後日数と雑草の葉数で散布時期が表示されています。散布時期が遅れると雑草の葉数が大きくなり、除草効果が大変悪くなります。容器に表示された時期に、表示された使用方法を良く読んで正しく使用しましょう。除草剤を効果的に使うには、田面を均平にし、土が見えないように十分水を張ってから、水口と尻水戸をしっかりと止めて除草剤を散布してください。
 水もちが悪い田では、畦塗りを行うとともに代かきを特にていねいに行い、最低3~4日間、できれば7日間は水を動かさないように工夫しましょう。

ムギの穂肥は2月上中旬から3月上旬が適期です。

 2~3月は麦類の穂肥施用時期です。令和5年産麦の栽培ガイドラインを参考に穂肥は遅れないように施用しましょう。

ムギの品質向上と増収はこれからの排水対策がキメテ

 麦は、幼穂ができ始める2月頃から出穂期頃に湿害を受けると、根の活力が著しく悪くなり、葉が黄色く枯死し、たんぱく含量などの加工適性に関係する成分品質が悪くなります。毎年、春には雨が続く時期がありますので、湿害を防ぐ対策が特に重要です。
 麦の排水対策の秘訣は、「圃場の表面水が土壌中にしみこむ前に水を排除すること」です。降雨後の表面水が数時間以内に排出するよう、今一度、排水溝を確認してください。

●土壌中に水が浸透するまでに表面の水を排除できるよう、圃場内の溝さらえを徹底してください。
●水田の送水が始まると、水口付近から漏水することがあるので、早めに水口を確認してください。
●雪が積もると、雪解け水がしみこみやすいので、畦面に水溜りがあれば小溝を付けて排水してください。

ムギ生育後半の雑草防除は2月末~3中下旬頃が適期です

●カラスノエンドウ、スズメノエンドウが多い場合
農薬名:MCPソーダ塩
散布時期:2月末~3月上旬頃
(小麦幼穂形成期)(麦の幼穂1㎜、草丈20~25㎝・但し収穫45日前まで)
●ハルタデが多い場合
農薬名:ハーモニー75DF水和剤
散布時期:小麦幼穂形成期~穂ばらみ期・大麦節間伸長期
(2月末~3月中旬頃・但し収穫45日前まで)

*播種時にハーモニー細粒剤Fを使った場合にハーモニー75DF水和剤は使用できません。

農薬名:バサグラン液剤
散布時期:2月末~3月中旬頃
(但し、小麦は収穫45日前、大麦類は収穫90日前まで)

*詳しくは令和5年産麦栽培暦・資材申込書をご参照ください






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