Agri Navi

水稲・麦・大豆などをご案内します

今月の農業(2023年4月)

水稲

今年の稲作本番スタート・・・
 「みずかがみ」「コシヒカリ」特Aランクを目指して頑張りましょう

 いよいよ今年の稲作がスタートします。「安全・安心」で「おいしい」米づくりをすすめるためには基本技術をきっちりと実行することが大切です。

田植え時期

 本紙先月号でお知らせしましたが、田植えは日平均気温15℃以上で風の穏やかな日が好適です。「コシヒカリ」や「キヌヒカリ」など、白未熟粒が出やすい品種は5月下旬までの範囲でなるべく遅めが適期です。「みずかがみ」は適期の範囲で早めに植えてください。

耕起・代かき

 耕耘入水前には、畦から漏水しないように、しっかり畦塗りを行いましょう。畦塗り機で行う場合には、作業機の速度をできるだけ遅くし、しっかりと土を叩き込むようにすると効果的です。畦塗り終了後はなるべく早めに入水してください。
 耕深は10~15㎝程度を目安にします。耕深は浅過ぎると、水持ちが悪かったり、作物残渣や雑草が土壌表面に露出しやすく、雑草の発生も多くなるので丁寧に耕しておきましょう。
 代かきは、耕起した水田に土が半分見えるくらい水を湛水して、なるべく均平に行いましょう。水の量が多すぎると、圃場の凸凹がわかりにくく、わら等の有機物のすき込みが悪くなるなど、作業が難しくなります。

施肥

 令和5年産JAグリーン近江栽培ガイドライン・生産資材申込書6~12ページをご参照ください。JAグリーン近江では、生産資材を統一した特別栽培米へのステップアップをめざしています。詳しくは各地の環境こだわり米部会のガイドラインなどをご参照ください。
 施肥田植機を使用する場合は、規定量の肥料が実際に施用されているか確認しましょう。特に、元肥一発型の肥料を使う場合には、施肥量が不足すると減収する場合があるのでご注意ください。
 全層施肥の場合、水田に水を入れる前に乾田状態で肥料を散布し、全面耕耘してから入水耕耘の順に行うと肥料の利用効率が良くなります。

田植え

 田植機に苗を載せる前に、植付け深さ、横送り回数、苗かき取り量などを調節します。
 植付け深さは2~3㎝を目安に、植え付け本数は1株当たり3~5本程度に調節します。苗載せ台に苗を載せる前には植付け爪を回転させて、苗載せ台を左右どちらかの端に移動させます。
 植え初めには、苗を載せて少し試し植えを行い、植え付け本数、植え付け深さ、施肥量などを実際に確認してから本格作業を始めましょう。

水管理

 田植え後に低温・強風の場合には深水とし、晴天・高温の場合には浅水とします。この時期に低温・強風が予想される場合には、日中は3~4㎝の浅水で水口を閉じ、夜間には5~6㎝の深水となるように午後から入水して、低温・強風時の苗痛みを防ぎます。
 なお、土壌の還元化が強まりガスの発生が強くなるような場合には夜間落水や早期中干しを行い、土壌中への酸素供給を行い、根を健全にしましょう。
 なお、農業用水の利用は、管轄の土地改良区など、水利施設の用水供給計画に合わせて農業用水の有効活用に努めましょう。また、田植前に濁り水を放流しないよう注意しましょう。

除草剤散布時の水管理

 除草剤の効果は水管理の良し悪しで大きく異なります。除草剤を散布する前には、田面に5~6㎝程度の水をたっぷり貯めてから入水口、排水口をきっちりと閉め、畦際からの水漏れをしっかり止めます。
 除草剤散布後1週間程度は水を動かさないようにすることがコツです。代かきを丁寧に行い、田面を均平にするとともにあぜ塗りや畦畔シートで、畦畔からの漏水を防ぎ、1日でも長く水を貯めておくようにしましょう。
 水が早く減る場合には、一旦、水がすっかりなくなってから静かに給水してください。水が減らないように水口から少しずつチョロチョロ水を流し続けると除草剤の効果は著しく悪くなり、水口付近では除草剤がほとんど効かなくなりますのでご注意ください。
 除草剤は初中期一発剤を基本とします。初中期一発剤に「キマリテ」、残草が出た場合のノビエには「クリンチャー」、広葉雑草には「バサグラン」がおすすめです。なお、特に水保ちの悪い水田や転作跡には「メテオ」などの初期剤+「セカンドショット」などの中期剤との体系処理を行ってください。
 詳しくは、令和5年産JAグリーン近江栽培ガイドライン・生産資材申込書16~17ページをご参照ください。

農薬の使用は正しく安全に
農薬の安全使用

 除草剤などの農薬使用前には、ラベルの記載内容を良く読んで正しく使用してください。農薬の容器や使い残した農薬は、畦や排水路などに放置しないで適切に処理してください。また、農薬や散布後の田面水が、周辺作物や河川などに飛散したり、流れ出さないように十分注意してください。

無登録農薬等は農耕地には使用できません

 ラベルに農薬登録番号の記載がない資材は、無登録農薬の疑いがあるので、水田畦畔など、農地へ使用しないようにしましょう。「非農耕地用」と表示された除草剤は、類似成分であっても、農地には使用できません。

農薬使用者の健康管理にも留意しましょう

 農薬散布を行うときは防除衣、手袋、めがね、マスク等、散布作業に適した服装で従事しましょう。
 睡眠不足や体調の優れない時は散布作業に従事しないようにしましょう。また、「散布作業中の飲食や喫煙、 農薬散布後の飲酒」を避けるなど、散布作業を行う人の健康管理にも十分留意しましょう。

水も大切な資源です ~大切に使いましょう~

農作業防止にも十分注意しましょう

 麦栽培ガイドラインを参考に、赤かび病の防除は必ず適期(開花期)に適正散布を実施しましょう。  また、小麦はタンパク向上のため出穂10日後に10a当り硫安20㎏の実肥を施用しましょう。ただし、3月の穂肥で「麦用セラコートR2500」を規定どおり施用した場合、実肥は不要です。

赤かび病対策

 小麦や大麦、ビール麦ともに1回目防除は開花初め、2回目はその7~10日後です。薬剤は「ワークアップ粉剤DL」または「フロアブル剤」、「トップジンMゾル」などがあります。赤かび病の発生の多い年は3回目防除が必要です。
※赤かび病は乾燥調製施設内でも感染が拡大する場合があります。荷受時点でもチェックを行いますが、本田で発生しないよう適正防除は必ず実施しておいてください。

排水対策

 麦類は、出穂後に湿害にあうと品質が著しく悪くなります。田植時期になると水田用水が送水されてきますので、麦作田に隣接する水路やバルブからの水漏れがないか、今一度確認してください。出穂後の湿害は麦品質に致命的なダメージを与えます。排水対策は今一度徹底してください。

大豆

 麦跡には、大豆を栽培して水田の高度利用を図りましょう。営農組合や法人など大規模な集団では、良質大豆の安定多収を目指して、早めから栽培計画をたて、資材と作業の準備をはじめましょう。  大豆の多収・品質向上は、①良い種子 ②初期の排水対策と雑草対策 ③子実肥大期の病害虫防除がポイントです。麦の収穫準備と合わせて大豆播種の計画をすすめましょう。

飼料米の 低コスト多収栽培

品種選定

・滋賀県奨励品種または過去に広く栽培された水稲うるち米品種の中から、倒伏や病害虫の抵抗性が強く、多収性の中晩生品種を選んでください。
 〈例〉「吟おうみ」など

コスト低減

・野菜跡や大豆跡などの肥沃地で、適正な栽培管理によって多収を目指します。
・肥料の施用にあたっては土壌診断結果に基づき、無駄のない施肥を心がけます。
・元肥は主食用米よりやや多めに施用して早期分げつ・穂数確保を目指してください。
・耕畜連携による堆肥の利用など、化学肥料の使用量を減らします。
・直播栽培や疎植栽培など、低コスト化技術を積極的に活用します。

病害虫防除

・周辺の主食用水稲に影響がなければカメムシ防除は不要です。
・籾米給餌や籾殻を含めて給餌する場合には、出穂期以降の農薬散布は止めてください。

WCSで耕蓄連携をすすめよう

圃場選定

・雑草が少ない肥沃地を選び、収穫時期に田面が良く乾燥する圃場を選定します。

品種選定

・主食用品種は病害虫抵抗性や倒伏に強く、多収性品種を選びます。
・専用品種は飼料用に改良され、多収性・耐倒伏性に優れています。主食用水稲に混入しないように栽培してください。

雑草対策

・除草剤は稲WCSに登録のある薬剤を使用してください(主食用水稲に登録があっても使えないものがあります)。包装容器に記載された使用上の注意を良く読み正しく散布してください。
・WCSに雑草が混入すると著しく品質が悪くなり家畜飼料として使用できない場合があるので、雑草防除は徹底してください。

水管理

・中干しは早めに十分行い、田面を固めてください。
・中干し前に溝きりを行うとその後の水管理がスムーズにできます。
・収穫前には早めに落水し、田面の乾田化を図るようにしてください。

施肥基準〈飼料用米・WCS共通〉

主食用品種では、通常の水稲栽培に準じて行います。




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