Agri Navi

水稲・麦・大豆などをご案内します

今月の農業(2023年8月)

水稲

「みずかがみ」「コシヒカリ」特A評価をめざす・・・最後の仕上げ

 近年、夏季の異常高温が原因と考えられる水稲の収量および品質低下が続いています。3か月の気象予報では、今年の夏も高温になる確率が高い予想となっています。 水稲の生育は、草丈、葉数は平年並みと見られますが、茎数は少ないと見られています。圃場条件や田植日によって生育の差が大きいようです。今後の管理の要点は、穂肥の適期施用と水管理、病害虫の被害防止がキメテです。ほとんどの品種では、出穂~穂揃い期となっていると思われますが、特に水分や肥効の影響も顕著な時期です。
●穂肥施用済みまたは一発施肥栽培においても葉色が薄い場合には、追加施肥が必要になる場合がるので、稲をよく観察して判断しましょう。
●稲の一生のうちで水分を最も多く必要な時期に当たることや、カドミウム吸収抑制のために出穂期前後3週間は水深3~5cmの浅水で常時湛水を続けましょう。
●病害虫は早期発見、早期防除に努めましょう。「クサネム」など玄米に混入しやすい雑草や水稲異品種は早めに抜き取りましょう。

穂ばらみ期~出穂期の葉色と水管理が品質向上の決め手

●穂ばらみ期~出穂期にかけての葉色が「コシヒカリ」では、葉色板4.5~5くらい、「キヌヒカリ・日本晴・秋の詩」などの品種では葉色板5~5.5を目標に穂肥を追加してください。  
 ただし、出穂期以降の曇雨天が続く場合には、穂肥が多すぎると穂いもちや未熟粒の増加など品質が著しく劣化し、食味低下にもつながるので、注意が必要です。

●落水の目安はモミが黄色になり始めたころ  登熟期に⾼温が続くと、⽩未熟粒が発⽣し、品質が低下します。落⽔時期が早すぎて、水分不足になると、登熟不良による胴割粒や未熟粒等が増加して外観品質がさらに悪くなり、⽞⽶中のタンパク質含有率が⾼くなるので、⾷味も悪くなります。 出穂期前後3週間は湛水状態を保つようにし、コンバイン収穫に⽀障がない範囲で落⽔時期は遅めとし、水分補給と地温の上昇防止に努めてください。特に、砂質土壌や下層が礫層で水もちの悪い地帯では、水不足になると葉色が薄くなり、下葉が枯れあがったり、背白・基部未熟粒が多くなる原因となるので、水分補給は大変重要です。間断かんがいや浅水湛水によって、根に酸素をあたえながら十分な水分補給をおこなってください。  
 また、登熟期の湛水は有害物質のカドミウムの吸収抑制にも有効です。食の安全面からも出穂期前後にはくれぐれも水不足のないように注意してください。  湛水期間終了後は収穫作業に支障がない限り、できるだけ遅くまで管理溝に水を通すなどして水分を補給し、よい米づくりに努めましょう。  
 なお、水は限りある貴重な資源です。地域の水利施設の計画にしたがって無駄のないように大切に使い、用水の供給に支障をきたさないように注意しましょう。  

胴割米は商品価値ゼロ!! 出穂後の水不足と刈り遅れにご注意を…

 稲は出穂後の日平均の積算温度が約1000℃で完熟します(コシヒカリやキヌヒカリでは出穂後約35日)です。出穂後に高温が続いたり、水不足になったり、穂肥の肥効が十分でないと、これより早く成熟するので、刈り遅れないように注意してください。
※刈り取り適期の目安は、平均的な穂の籾が85~90%程度黄化したときです。
●収穫後の生籾は直ちに通風乾燥するか、乾燥施設に搬入しましょう。
●生籾のまま翌日まで放置すると品質事故の原因となるので翌日の施設搬入は厳禁です。

みずかがみの収穫・乾燥調製

「みずかがみ」は8月末が収穫適期です。  乾燥仕上げ籾水分は14.5%です。過乾燥や胴割れ防止に注意しましょう。
 玄米の選別は1.85㎜以上の選別網を使用し整粒歩合80%以上に仕上げてください。

異品種混入防止

 

 異品種の混入防止は、産地としての信頼を高めるために非常に重要な事項です。次の事項について格段の努力をお願いします。
 収穫前に、成熟期・草丈・芒の色や長さなどが異なる稲を抜き取ってください。
 収穫乾燥調製に使用するコンバインなどの機械やフレコンなどの容器は、異なる品種を扱う前に、清掃を確実に行ってください。
 

斑点米カメムシ類防除

 斑点米「カメムシ類」は、畦畔などのイネ科雑草で増殖します。出穂期前後に畦畔の雑草等を刈り取り、カメムシ類の生息密度を抑えると斑点米「カメムシ類」の被害防止に有効です。カメムシはイネ科雑草に集まりやすいので、出穂3週間前頃と出穂期頃の2回以上草刈をおこなうようにしてください。
 また、薬剤防除にあたっては各地域の防除協議会の計画等に従ってください。薬剤防除を行う場合、圃場周辺に雑草が多いと薬剤の効果が悪くなります。雑草の刈り取りを済ませてから薬剤を散布しましょう。
 なお、農薬を使用するときは、ラベルに記載の注意事項にしたがって、適正に使用しましょう。散布作業にあたっては、作業に適する服装やマスク着用など、作業安全・騒音問題・集落への防除の周知などにも注意しましょう。熱中症にもご注意ください。


 

台風対策

 穂ばらみ期~出穂期にかけて強風の被害を受けると、脱水による白穂や不稔粒の発生、倒伏による穂発芽等の被害が発生します。そのため、台風前には、稲に十分な水分補給を行うとともに地ぎわからの倒伏を軽減するために、台風の前には出来るだけ深水で管理しましょう。
  大雨が予想されるときは事前に用水路や排水路を点検し、圃場への浸水や冠水を防ぐとともに、台風通過後は出来るだけ早く排水に努めてください。なお、稲の葉や穂に傷がつくと「いもち病」や「白葉枯病」、冠水すると「黄化萎縮病」などが発生しやすいので注意が必要です。
 
*倒伏した稲や穂発芽した籾は別扱いしましょう。

大豆

大豆葉が半分以上裏返しになったら畦間潅水!!

 大豆は、播種~開花期頃までに湿潤な状態が続くと写真のように「たて根」の伸長が悪く、開花期以降に高温乾燥の状態になると干ばつの影響を受けやすくなります。

 開花期から登熟期にかけて7日以上降雨がなく、大豆の葉が全体の半分以上裏返しになってきたら、畦間に水を流して、水分を補給してください。
 ただし、日差しの強い昼間に水がたまると根腐れなどの原因となるので、潅水はなるべく夜間に行い、畦間に水が一通り行き渡ったら直ちに表面水を排除してください。
 

中耕培土は 遅れないように!!

 中耕培土の適期は大豆の本葉2~3葉期と本葉7~8葉期ころです。大豆の花が咲き始める頃までに2回実施してください(詳しくは、本紙7月号または大豆栽培ガイドラインをご覧ください)。
 
※中耕の時期が遅れると根が切れたりして、「青立ち」の発生や着莢が悪くなるなど逆効果になります。必ず花が咲き始めるまでに実施してください。

雑草防除

 生育期茎葉処理剤には、広葉雑草対象の大豆バサグラン液剤やイネ科雑草対象のポルトフロアブルのように畑全体に散布できる選択性薬剤と、バスタ液剤のように畦間・株間のみに散布できる非選択性除草剤もあります。いずれの除草剤も、大きくなりすぎた雑草には効きが悪くなるため、散布適期を逃さないようにしましょう。詳しくは、令和5年産大豆の栽培ガイドラインをご覧ください。

 

病害虫防除

 大豆は莢の肥大期に害虫の被害を受けると品質・収量ともに著しく悪くなります。こまめに圃場を巡回し、害虫の早期発見に努めましょう。
 カメムシやハスモンヨトウなどの子実害虫は、開花期以降、7~10日おきに防除を実施し、高品質大豆の生産に努めましょう。




農薬の使用は正しく安全に!

5月~6月頃は水田で農薬を使用する機会が多くなります。以下の事項に留意の上、正しく安全に使用しましょう。

・農薬を使用するときは、ラベルに記載されている適用作物、使用時期、使用方法等を十分確認し、容器等に表示されている使用基準を守りましょう。
・農薬による危害や悪用を防止するため、農薬は鍵のかかる場所に保管しましょう。
・農薬の誤飲による中毒事故発生を防止するため、農薬やその希釈液、残渣等を飲食品の空容器等へ移し替えないでください。
・農薬を散布するときは、周辺住民や通行車両等に農薬が飛散しないよう注意しましょう。
・公共施設、住宅地などの周辺で、広範囲に農薬を散布するときは、飛散防止対策を徹底し、事前に農薬を散布する日時、使用農薬の種類等を記した書面や看板等により周辺住民や施設利用者等に周知しておきましょう。
・無登録農薬等は農耕地には使用できません。また、「非農耕地用」と表示された除草剤は、類似成分であっても農地には使用できません。
・農薬散布を行なうときは防除衣、手袋、目がね、マスク等、散布作業に適した服装で従事し、睡眠不足や体調のすぐれない時は散布作業に従事しないようにしましょう。また、「散布作業中の飲食や喫煙、農薬散布後の飲酒」を避けるなど、散布作業を行う人の健康管理にも十分留意しましょう。

 作業確認を徹底し、農作業事故を防止しましょう!

  農作業中の熱中症にも注意しましょう!
  こまめな水分補給・休憩や通気性の良い衣服の着用など、熱中症対策を行い、日中の暑さに備えてください!



大型特車の行動走行について


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