Agri Navi

水稲・麦・大豆などをご案内します

今月の農業(2023年11月)

水稲


イネ縞葉枯病の発生と対策について

 水稲栽培においてイネ縞葉枯病が東近江管内で広く確認されており、増加傾向にあります。この2~3年ほどで発生が増加してきている状況で、中生以降の品種を中心にほ場で枯死している株も見受けられ、一部で局地的に発生が多いほ場がみられ、水稲収穫後の刈株再生芽の発病も多く確認されています。
 イネ縞葉枯病は、ヒメトビウンカが媒介するウイルス病で、ウイルスを保毒したヒメトビウンカがイネを吸汁することで感染・発病します。症状は、葉が黄緑色または黄白色で稲の生育初期に発病すると、穂が出すくみによる籾の不稔や株枯れにより減収します。発病すると治療する方法はないとされています。
 このままの推移を考えると次年度はさらに発生ほ場、発病株率の拡大が予想され、株枯れや出すくみによる不稔が増加し、収量低下の主要な要因にもなる可能性があります。

【対応策】
 耕種的防除としては、ヒメトビウンカがイネ縞葉枯病の再生芽を吸汁し保毒するため、早期に耕起をおこないましょう。  
 薬剤防除としては、育苗箱施薬による予防と発生が多い場合は6月下旬に薬剤防除を行いましょう。



土壌診断に応じた土づくりと施肥コスト削減

 土づくりにより土壌中の養分状態を良好に保つ必要があります。そのためには、土壌の不足する養分と過剰な養分を把握する「土壌診断」が有効です。
 診断結果に応じて適切な施用量に調整することで作物の品質や収量の向上につながるのはもちろん、過剰な施肥を避けることでコスト低減も図れます。
 土壌分析は、地域や集落ぐるみで実施しましょう!!

土づくりのポイント① 有機物の施用

 有機物の施用は、腐植が増加し土が耕しやすくなる、様々な養分がゆっくりと現れ作物の栄養供給源となる、土中の微生物数が増加し蓄積されていた有機物の分解が促進される、などの効果により、収量の増加が期待できます。
 水稲収穫後の稲わらはもちろんのこと、たい肥やヘアリーベッチ(緑肥)を活用し有機物を施用しましょう。

●堆肥の施用
 牛ふん堆肥は、作物の三大栄養素である窒素・リン酸・カリがバランスよく含まれ、繊維質も多いため土壌改良成分として長期的に効果を発揮します。一方、鶏ふんは、牛ふん堆肥に比べ窒素含有比率が高く、化学肥料と同程度の肥料効果が見込めます。
 堆肥の連年施用により、化学肥料の施用量削減も期待できます。施用する堆肥の特徴を踏まえ、土壌の状態や堆肥の窒素量等を十分考慮し、元肥量を調整し施用するようにしましょう。

土づくりのポイント② 深耕

 土を深く耕すことで作土層が拡大し、根の伸長を広げるとともに、土の保肥力を向上させ、根の動きを高め健全な稲を育てることに繋がります。 目標の深さ:15㎝以上


 

土づくりのポイント③ 土づくり肥料の施用

 水稲の生育に必要な養分として、炭素・水素・酸素・窒素・カリウム・カルシウム・マグネシウム・リン・硫黄で、その他に鉄・マンガン等が養分として必要です。お米の品質向上には、1にも2にも土づくりが欠かせません。土づくり資材は、健全な根の生育を助長するとともに、乳白粒や未熟粒の発生予防など安定した品質・収量を得るために、欠かす事の出来ない資材です。また、カドミウムの吸収抑制にも効果があります。特に、りん酸・けい酸は稲体を健全に生育させ病害虫に対する抵抗性も高まり、気象変動でも安定した米の生産が期待できます。

 

麦・大豆・野菜跡等の土づくりについて

 麦・大豆・野菜などの田畑転換を行うことで、地力は年々低下します。地力を維持・向上するためには、麦・大豆・野菜跡であっても、土づくり資材を継続して施用しましょう。
 また、麦・大豆・野菜跡などの残渣については、しっかりと土に鋤き込むことで、有機物として利用し、土づくり資材施用とあわせて稲の養分吸収にうまく活用しましょう。 





1 耕起前の雑草対策

●耕起前に根まで枯らすことが大切です。
・耕起だけでは、雑草を十分に枯らすことができないため、耕起前に雑草を確認してから非選択性の茎葉処理剤で根まで枯らし、播種後は土壌処理剤で新たな雑草の発生を抑えます。耕起だけでは、雑草を十分に枯らすことができないため、耕起前に雑草を確認してから非選択性のラウンドアップマックスロードなどの茎葉処理剤で根まで枯らし、雑草の発生を抑えましょう。播種後は、土壌処理剤で新たな雑草の発生を抑えます。

2 排水対策の徹底

●麦は、1にも2にも排水対策を徹底しましょう。

・麦は、湿害に弱い作物です。排水が悪いと播種精度や土壌処理除草剤の効果の低下、出芽期に影響がでます。播種作業前から十分な排水対策が重要です。
・サブソイラーによる耕盤破砕や溝掘機による明渠を土壌に応じた間隔で設置し排水性を高めて収量・品質を向上しましよう。

3 土づくり

●麦の作付け前に土壌分析を実施し、麦の時期にあわせて「土づくり」をしましょう。

・有機物の施用(牛糞堆肥1~2t又は新ふりかけ堆肥eco80㎏/10a)
・深耕(15㎝以上)
・土づくり肥料の施用(土力じまん100㎏、グリーンパーフェクト100㎏/10aなど)pH目標値 6.5に調整 


施肥設計や播種作業につきましては「令和6年産びわほなみ・ファイバースノウ栽培暦資材申込書」に掲載していますのでご 確認ください。



大豆

 

収穫時期の判断

 「ことゆたかA1号」の収穫の適期となってきました。今年の大豆は、6中旬、7月上中旬の長雨、8月は高温、播種は雨の間での播種作業(6月下旬~8月上旬)となり生育の差は大きいものの、発芽揃は良かったです。生育期の高温による水分のストレスにより、花落ちによる着莢不良が見受けられたほ場がありますが生育は順調に進んでいます。
 良質な大豆を収穫するためには、ほ場ごとに適期を見極めてから収穫作業を行いましょう。
 収穫時の大豆の水分が20%以上では損傷粒、また茎の水分が50%以上では汚損粒が増えるので、大豆の茎・莢・大豆粒の水分を的確に把握し収穫作業を行ってください。

コンバイン収穫適期
 莢や子実の水分が18~20%
 茎の水分が50%以下



全体 :葉が完全に落ちて茎と莢だけになっている。
:莢が黄化してから約2週間経過し、茎を揺さぶるとカラカラと音を立てる。
:粒が球形になり、硬くなって、爪を立てても爪跡が5㎜以下しかつかない。
:完全に茶色く枯れ上がり、手でポキッと折れる。

 

収穫時刻の判断

大豆の水分は、気象条件によって1日の中で変化します。前日や当日の気象条件などによって、収穫できる時間帯が異なります。

 ●前日が晴れで当日曇りの場合は、11時頃から3~4時間程度に行います。
 ●前日まで降雨が続いた場合は、当日晴れていても収穫が不可能な場合があります。
 ●前日晴れで当日晴天の場合は、午前10時から午後5時頃までが最良です。


*「青立ち大豆」や「雑草」などは早めに抜き取り、最適な状態で収穫できるよう早めに収穫の準備をはじめましょう。



農薬の使用は正しく安全に!

5月~6月頃は水田で農薬を使用する機会が多くなります。以下の事項に留意の上、正しく安全に使用しましょう。

・農薬を使用するときは、ラベルに記載されている適用作物、使用時期、使用方法等を十分確認し、容器等に表示されている使用基準を守りましょう。
・農薬による危害や悪用を防止するため、農薬は鍵のかかる場所に保管しましょう。
・農薬の誤飲による中毒事故発生を防止するため、農薬やその希釈液、残渣等を飲食品の空容器等へ移し替えないでください。
・農薬を散布するときは、周辺住民や通行車両等に農薬が飛散しないよう注意しましょう。
・公共施設、住宅地などの周辺で、広範囲に農薬を散布するときは、飛散防止対策を徹底し、事前に農薬を散布する日時、使用農薬の種類等を記した書面や看板等により周辺住民や施設利用者等に周知しておきましょう。
・無登録農薬等は農耕地には使用できません。また、「非農耕地用」と表示された除草剤は、類似成分であっても農地には使用できません。
・農薬散布を行なうときは防除衣、手袋、目がね、マスク等、散布作業に適した服装で従事し、睡眠不足や体調のすぐれない時は散布作業に従事しないようにしましょう。また、「散布作業中の飲食や喫煙、農薬散布後の飲酒」を避けるなど、散布作業を行う人の健康管理にも十分留意しましょう。

 作業確認を徹底し、農作業事故を防止しましょう!

  農作業中の熱中症にも注意しましょう!
  こまめな水分補給・休憩や通気性の良い衣服の着用など、熱中症対策を行い、日中の暑さに備えてください!



大型特車の行動走行について


   


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