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みんなの人権

友だち幻想からの解放


 2018年4月14()に放送された某TV番組で、お笑い芸人で芥川賞作家のピース・又吉さんが『友だち幻想』(ちくまプリマ―新書)を紹介しました。10年前に刊行された書籍にもかかわらず、大きな話題になっています。現に書店に行けば、新刊コーナーで平積されています。著者の菅野仁さんは、友だち付き合いの苦手だった小学生の娘さんが、クラスになじむように学校で注意された様子をみたことがこの本を書いたきっかけの一つになったということです。

 ポイントをまとめてみると次のようになります。

1.自分以外はみんな他者

 「いくら仲のいい友達でも、100%理解できる友だちなんてありえない。自分以外は全員『他者』と思うことが重要」と書かれている部分に又吉さんは救われたそうです。
 価値観が100%共有できるのだとしたら、それはもはや他者ではありません。自分そのものか、自分の<分身>か何かです。100%一致していると思うのは、自分の作った幻想にすぎないのかもしれません。つまり、相手の人格を無視することにつながるかもしれないということです。
 そこで、菅野さんは、「友だち幻想からそろそろ解放されるべき」ではないかと書いています。


2.友だち付き合いが苦手になる理由

 その理由の一つは、「自分の限界を学校が教えてくれないから」としています。
 大人になると、自分のできることに限界があり、相手の要求を100%満たすのは無理とわかります。しかし、学校では、無限の可能性があると言われることがあっても、頑張ってもダメなことがあるという事実は、中々教えられません。挫折や限界を知らない子どもは、友だち付き合いも自分の思い通りになると勘違いして、ちょっとしたことでもつまずいてしまいます。
 限界を教えるのは、冷たい感じがします。でもこの本のいいところは、無限の可能性を否定しているわけではなく、限界も同時に教えるべきだとしているところです。


3.付き合い方の作法を教える

 子どもに「学校に苦手な子がいる」と言われたら、どんなアドバイスをしますか?
 番組での答えは、「その子と距離を置いてみたら?」でした。
 仲がよい友だちがいるのはいいことですが、無理をして気の合わない人と友達になる必要はないということです。距離を置くということは、協調性がない、冷たい態度と言われることがあるかもしれませんが、気の合わない人と一緒に居る作法を学ぶことも重要なのです、としています。
 例えば、最低限の挨拶はしましょう。親しくしすぎる必要はありませんが、敵対視するのもNG。挨拶だけの関係性と言うのも、距離の取り方の一つとしています。冷たい言い方かもしれませんが、どんなに仲のよい相手でも他者は他者。他人とトラブルを起こさずに折り合いをつけることを学ぶことが、大人になることだと菅野さんは言っています。

 人間関係において、“こうあるべきである”という固定観念に捉われて、かえって不自由な思いをしているようなことはないでしょうか。あるとすれば、もっと楽になるような接し方はないか、考えてみませんか。

JA滋賀中央会発行『みのり』より

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