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みんなの人権

「自粛警察」が不要の社会へ

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、外出や営業の「自粛要請」がされるようになってからというもの、感染者や医療従事者に嫌がらせを行ったり、営業を続けるライブハウスや飲食店に苦情の電話を入れたりするなどという過激な行為が「自粛警察」(注)という名のもとに多発しています。
 この「自粛警察」のような動きが発生したのはなぜだろうか、ということを分析されている方がおられます。甲南大学文学部教授の田野大輔さんです。
 田野教授は、4月に大月書店から「ファシズムの教室―なぜ集団は暴走するのか」を刊行されています。同書は、田野さんが大学で10年間にわたって実施してきた「ファシズムの体験学習」の内容を紹介しつつ、ファシズムが人々の感情を巻き込んで拡大していく仕組みを解説したものです。その授業内容は簡単にいうと、田野さんが扮する指導者のもと独裁体制の支持者となった受講生が敬礼や行進、糾弾といった示威運動を実践することで、ファシズムの仕組みとその危険性を体験的に学んでいくというものです。受講した学生は、指導者の命令に従って集団で行動しているうちに自分の行動に対する責任感が麻痺してきて、異端者を排除するような攻撃的な行動にも平気になってしまうのです。
 田野さんは自粛警察と上記のファシズム的行動を関わらせて、次のように問題点を論じています。政府からの強制・命令ではない「自粛要請」では、充分な休業補償が提供されず、従わなくても処罰されるわけではないので、生活のために仕事や外出を続ける人も当然出てくる。そうすると一部の人たちの間に、自分は自粛しているのにあいつは自粛していないじゃないかという不公平感が生じる。みんなで力を合わせて危機を乗り切ろうとしているときに、自粛していない人は勝手な行動をとっているように見える。そのような人を懲らしめてやれという他罰(たばつ)感情に対して、政府の「自粛要請」はお墨付きを与えてしまうことになる。「自粛要請」のような行動に出る人たちは、政府の要請を後ろ盾にして他人に正義の鉄槌を下し、大きな権威に従う小さな権力者として存分に力をふるうことに魅力を感じているのである。
 これは、まさしく田野さんのいうファシズムの典型的な行動といえます。
 ここで、イギリスでの事例を紹介しますと、「同じアパートで、コロナウイルスの感染が疑われるため自己隔離をしている人からインターネットを通じて投稿があった。そこにはチョコレートやワインなど食料品の写真とともに、『このアパートの〇〇さんと〇〇さんが、私の代わりに食料品の買い出しをしてくれているおかげで、安心して自己隔離生活ができています。ありがとう』という旨の感謝のメッセージが添えられていた。」というものです。自己隔離者を避けたり、排除したりするのではなく、コロナウイルスと闘っている人を周りが支えあう。このような行動がいま求められているのではないでしょうか。


(注)「自粛警察」とは、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う行政による外出や営業などの自粛要請に応じない個人や商店などに対して、偏った正義感や嫉妬心、不安感などから私的に取り締まりや攻撃を行う一般市民やその行為・風潮を指す俗語である。


健康に生きる

「健康づくりの具体策―五感でいただく良い食事」

 前回は健康づくりにスポーツ・運動の大切さを考えました。今回は良い食事の大切さです。
 私たちのからだは大きな機械のように全体が一体となって動き続けています。このようなからだの動きや働きのために必要なエネルギーや栄養を日々補給し常にいい状態を保つために、食事は極めて大きな役割を果たしています。
 ここでは特に健康づくりに適した良い食事について考えたいと思います。まずは栄養面からです。超高齢社会を迎えた今、高齢者が健康的な生活を送るためには、しっかりとした骨・十分な筋肉・血液が必要です。これらをつくるために重要な栄養素がたんぱく質です。良質のたんぱく質(脂肪の少ない肉・魚、卵・乳製品・大豆製品など)をしっかり摂取すること、そして糖質、脂質などをバランスよく摂ることが大切です。
 食事でもう1点大事なことは五感を使って食事をすることです。からだもこころも満足していただきたいものです。
 健康づくりに大事なスポーツ・運動と良い食事を上手に活用して、自分の足で行きたいところに出かけ、友人と楽しく過ごし、社会の中に居場所を持って堂々と生活する姿を創りたいと思います。



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