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みんなの人権

最強の85歳

 今、アメリカで大流行のキャラクターの元になった“おばあちゃん”のドキュメンタリー映画『RBG 最強の85歳』を観に行きました。このおばあちゃんは、アメリカで2人目の女性最高裁判所判事であり、現役86歳のルース・ベイダー・キンズバーグ(愛称:RBG)です。若者が彼女に熱狂し、人気コメディアンが物真似し、彼女の似顔絵が描かれたマグカップやTシャツが大売れしているということです。
 彼女は、ニューヨーク・ブルックリンの貧しいユダヤ系家庭に生まれ、1956年にハーバード法科大学院に入学。その後、コロンビア法科大学院に転学し、学生結婚した夫・マーティンとともに、家事や幼い娘の育児を分担しつつ、学業に励み、首席で卒業しました。
 しかし、当時のアメリカでは、女性だからというだけで法律事務所に雇ってもらえない、という状況におかれます。その後、大学の法学部の教授となり、自らの理不尽な体験も手伝って、1970年代から性差別の裁判に関わり、「女性の権利プロジェクト」立ち上げに尽力します。のちに同プロジェクトの顧問弁護士として法廷に立ち、女性やマイノリティの権利発展に向けて着実に功績を残し、1993年にクリントン大統領に女性としては2人目となる最高裁判事に指名されました。
 キンズバーグ判事の道徳的な高潔さ、舌鋒鋭く手厳しい判決に注目した若い法学部生が、ソーシャルメディアに取り上げることにより、人気者に押し上げられることになりました。ここで驚いたのは、最高裁の判事が誰で、どのような訴訟を担当し、判決はどうであったかを国民が知っているということです。制度が違うといえば、それまでですが、恥ずかしながら、私は現在の日本の最高裁裁判官の名前を知りませんし、どのような判決を出してきたかも知りません。日米の違いに愕然としました。
 それと、キンズバーグ夫婦の仲の良さにも感動しました。学生結婚した2人ですが、夫・マーティンががんを患った時には、ルースがマーティンの代わりに講義に出たり、真夜中に課題を共に仕上げたりとサポートをしています。一方、ルースがD.C.(ワシントン)巡回区控訴裁判所裁判官に指名されると、マーティンはニューヨークで名の知られた弁護士でしたが、ルースを支えるために一家でワシントンに移住しています。ルースが最高裁判事に指名されたのも、マーティンの献身的なサポートと法曹界への熱烈な売り込みがあったからと言われています。
 また、「私が育った家庭では、義務を平等に負担しています。父は料理担当で、母は考えるのが仕事です」とルースの娘が言うように、家庭においては、家事を平等に負担し、仕事においては、法の下の平等を求め判決を下しています。
 最強の85歳は、公私にわたり平等の精神を体現していることに、敬意を表するとともに、私の身の至らなさを反省することしきりです。
 仕事でも家庭においても、「互いを尊重しあい、成長を支え合う」ことの大切さについて、考えてみませんか。


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