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家庭菜園・家庭園芸  2024年4月

私の食育日記 いろいろなものを食べる大切さ

 私ごとですが、ただ今第3子妊娠中。妊娠中は自分の食生活を見直すきっかけになります。
 まず、食事で意識しているのは体をつくる基礎となるタンパク質です。炭水化物に頼りがちな食事を、魚や肉、卵などタンパク質を中心にした食事にするよう心がけています。妊娠中は血液の作られる量が多くなるため、鉄分不足になりがちです。鉄分が多く含まれる食材にはアサリやレバー、マグロ、小松菜やヒジキが挙げられます。ブロッコリーやホウレンソウ、焼きのりに多く含まれる葉酸をしっかり取ることで、赤ちゃんの異常発生リスクを抑えられることが分かっています。他にも、サケやキノコ類に多く含まれるビタミンDはカルシウムの吸収を助けてくれます。妊娠中は便秘になりやすいため、海藻類や根菜などで食物繊維を多く取り、ヨーグルトなどの乳酸菌で腸内環境を整えることも大切です。
 このように必要な食材を挙げていくと、ついそればかりを食べようとしてしまいます。しかし、この中には取り過ぎると良くないものもあります。例えば、貧血予防には欠かせないレバーに多く含まれるビタミンAは、過剰摂取すると赤ちゃんの形態異常を引き起こすリスクが高まることが分かっています。他にも、マグロは鉄分たっぷりですが、赤ちゃんの成長を妨げる水銀が含まれますし、食物繊維が豊富なワカメやのりは、過剰摂取を控えた方が良いヨウ素が含まれます。ヒジキは鉄分や食物繊維が豊富で妊婦さんには良い栄養がたくさんですが、過剰摂取すると良くないヒ素も含まれます。
 このように多くの食材がたくさんの栄養素を持ち、いい面、悪い面と隣り合わせになっています。一つの側面だけを見て、そればかりを食べているとかえって体に良くないということも起きてしまうのです。これは妊娠中に限ったことではありません。健康的な食事とは、いろいろな種類のものをバランス良く食べることであると改めて感じました。  

岡村 麻純(おかむら ますみ)1984年7月31日生まれ。お茶の水女子大学卒。大学で4年間食物科学を学び、食生活アドバイザーなどの資格を持つ。男女2児の母


野菜もの知り百科 オカヒジキ(ヒユ科オカヒジキ属)

 海や川などの水中ではなく、陸地で育つことから、オカ(陸)の名が付いた作物があります。水田ではなく畑で作る米はオカボ(陸稲)。葉を乾燥させてあぶると、のりのようになるからオカノリ(陸海苔)。オクラは輪切りにした断面がレンコンに似ているからオカレンコン(陸蓮根)。ワサビダイコン(ホースラディッシュ)は清流ではなく、畑で栽培されるからオカワサビ(陸山葵)。
 オカヒジキ(陸鹿尾菜)も海藻のヒジキに似ていることからこの名が付きました。オカヒジキはヒユ科オカヒジキ属の陸上の植物、ヒジキはホンダワラ科ホンダワラ属の海中の植物です。どちらも多肉質で、クロロフィル(葉緑素)を持ち、光合成を行います。
 オカヒジキはアジア、シベリア、欧州に自生し、日本でも各地の海岸砂地に見られます。山形県の内陸部では江戸時代から野菜として栽培されています。1970年代には市場で流通するようになり、高知県や長野県などにも産地ができました。
 露地物のピークは5~7月ですが、ハウスの無加温や加温栽培が加わり周年供給されるようになりました。病害虫に強いため、ほとんどが無農薬栽培です。種まき後1カ月で伸びる葉を順次摘み取り、パック詰めで出荷します。
 カリウム、カルシウム、マグネシウムなどのミネラルを豊富に含みます。カリウムは取り過ぎたナトリウムを排出することから、高血圧の予防や改善に効果があるといわれています。がんや老化の予防に注目されているベータカロテンも豊富です。
 シャキシャキとした歯触りで、味に癖がなく、軽くゆでるだけで食べられます。緑色が美しく、おひたしやサラダなどに利用できます。
 ヒジキは、大豆やニンジンなどとの煮物がおふくろの味として人気です。オカヒジキのおふくろの味はみそ汁やからしあえでしょうか。

藤巻久志/種苗管理士、土壌医。種苗会社に勤務したキャリアを生かし、土作りに関して幅広くアドバイスを行う。


あなたもチャレンジ! キュウリ 追肥・水やりで長期収穫

 キュウリは食感と新鮮さが本命。家庭菜園なら実が少し小さくても大きくなっても楽しめます。生育適温は日中22~28度、夜間17、18度です。根は浅く張るため乾燥に弱いので、水持ちが良く、有機物の多い畑が適します。  
[苗作り]植え付け時期から逆算しておよそ30日前に、加温された9cmポリポットに3粒ずつ種まきします(図1)。発芽したら30度以上にならないように換気し、本葉1本の頃に間引いて1本立ちにし、本葉4、5枚まで育苗します。加温育苗しないときは、5月上旬から中旬ごろが種まき時期です。購入苗はつる割れ病に強い接ぎ木苗を選びましょう。
[畑の準備]植え付け2週間前までに1平方m当たり苦土石灰200gをまき、土と混ぜておきます。次に、1週間前に化成肥料(NPK各成分10%)200g、堆肥2、3kgを予定した畝幅に散布し、よく耕しておきます(図2)。土壌水分が適度のときにマルチを張り、地温を上げておきます。
[植え付け]中間地では遅霜の心配がない5月上旬から中旬、トンネル栽培の場合は4月中旬から下旬ごろが植え付け時期です。栽植方法は、2条植えでは畝幅120cm程度、条間80~90cm、株間60~70cmにします(図3)。
[誘引・摘心]植え付け時は仮支柱を立て、ひもで緩く縛ります。次に、つるが伸びだす前に支柱を用意し、合掌式に支柱を組みます。そして、支柱にキュウリネットを張り、つるをネットに誘引します(図4)。親づる(主枝)の下から5、6葉までの子づると雌花は、全て早めに摘み取ります。その後の子づる、孫づるは2葉を残して摘心し、親づるは支柱の高さで摘心します(図5)。
[摘葉・摘果]黄化した下葉や病気の葉は随時摘葉し、曲がり果などの変形果は小さいうちに摘果して、株の負担を軽くします。
[追肥・水やり]肥切れさせないように、収穫終了前まで2週間ごとに追肥を続けます。1回目は果実が取れる頃に株の周りに施し、軽く土と混合します。2回目以降は1平方m当たり化成肥料30g程度を畝の肩に浅く溝を作って施し、薄く土をかけます。キュウリは特に水分が必要で、畑が乾いていたら必ず水やりをします。
[病害虫防除] べと病やうどんこ病は、登録農薬で防除します。アブラムシは、粘着くん液剤などを散布します。
[収穫]長さ21、22cm、重さ100~120gくらいが収穫適期ですが、小さくてもモロキュウとして楽しめます。最盛期は朝夕2回の収穫を心がけ、また草勢が弱ったときには若取りして株の負担を減らし回復を早めましょう。


※関東南部以西の平たん地を基準に記事を作成しています。
園芸研究家●成松次郎





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