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家庭菜園・家庭園芸 2024年6月
私の食育日記 タマネギは子どもの味方
どんな料理にも活躍してくれる万能なタマネギですが、意外とタマネギが苦手な子は多いように思います。その多くの理由が辛いからですよね。確かに生のタマネギは食べたら辛いし、切れば涙も出て、苦手意識を持ってしまうのは分かります。しかしながら、実はタマネギはとっても甘い野菜なのです。
タマネギの糖度はイチゴと同じくらいあります。にもかかわらず食べると辛く感じるのは含硫アミノ酸である辛味成分が含まれているからです。その辛味成分は、水や熱に弱いため、水にさらす、または加熱することで辛味成分が抜けて、本来のタマネギの甘さを感じることができるようになります。タマネギを炒めると加熱によって辛みが抜け、さらに水分が蒸発して甘みが凝縮してタマネギが本来持っている甘みを感じることができます。そこで、わが家では炒め物や豚の角煮などでも炒めたタマネギをたっぷり使い、絡めて食べることで自然な甘み付けとし、その分だけ砂糖を控えめにして調理しています。子どもたちも甘くなったとろとろタマネギが大好きです。
もう一つ、タマネギが子どもたちの味方になってくれるのが、肉を軟らかくしてくれる、プロテアーゼと呼ばれるタンパク質分解酵素が含まれている点です。このタンパク質分解酵素は、パイナップルやキウイフルーツなどにも含まれますが、タマネギはフルーツに比べて味に癖がないため、どんな味付けにも使いやすいのです。わが家では、唐揚げを作るときもすりおろしたタマネギに漬け込みますし、刻んだタマネギのマリネ液に肉を漬けてから調理するなど、子どもが食べやすい軟らかい肉料理を目指して、タマネギを多用しています。
そんな、実は甘いタマネギですが、もちろん辛味成分にも体に良い栄養が含まれますし、辛みが生きるタマネギ料理もあります。食べる人や年齢に合わせて、その魅力を最大限に引き出した調理法で、タマネギにはこれからも活躍してもらいたいと思います。
岡村 麻純(おかむら ますみ)1984年7月31日生まれ。お茶の水女子大学卒。大学で4年間食物科学を学び、食生活アドバイザーなどの資格を持つ。男女2児の母
野菜もの知り百科 ジャガイモ(ナス科ナス属)
ジャガイモもトマトも、ナス科ナス属です。意外に思うかもしれませんが、花を見ればどちらもナスの花に似ているので納得します。ジャガイモはミニトマトのような実を付けることがあり、その実にはアルカロイドという毒が含まれているので食べられません。
原産地は南米のアンデス地方です。16世紀にスペインがインカ帝国を征服したことを機に欧州に伝わりました。フランスのルイ16世は救荒作物としてジャガイモを奨励し、王妃のマリー・アントワネットはジャガイモの花を髪に飾りました。
ジャガイモは野生種を含めると約5000種あり、形も肉色もさまざまです。花色も白や赤などいろいろあります。マリー・アントワネットが愛したジャガイモの花の色は青といわれています。
19世紀中ごろにアイルランドでジャガイモに疫病がまん延して飢饉(ききん)が起き、ケネディ元大統領やウォルト・ディズニーの祖先が米国に移住しました。一つの作物、一つの品種だけに頼る危険性があらわになった歴史上の大事件です。多様性が大切です。
同じ作物や品種を作り続けると、それらを好む害虫や病原菌が寄ってきます。特定の微量要素を吸収するため欠乏症も発生します。連作障害です。防ぐには異なる作物を順に繰り返して栽培する輪作が有効です。
わが国には、16世紀末にオランダ人が長崎に伝えました。ジャワ(現インドネシア)のジャガトラ(現ジャカルタ)経由だったのでジャガトライモと呼ばれ、それが転じてジャガイモになりました。日本で本格的な栽培が始まったのは、明治時代後期に川田龍吉男爵が英国からホクホクとした食感の「男爵薯」を導入してからです。
大正時代になると煮崩れしにくい「メークイン」が米国から入り、長い間「男爵薯」と二大品種の時代が続きました。今は果皮が紫や赤の品種も続々登場し、トマトやナスと同じく多品種の時代になりました。
藤巻久志/種苗管理士、土壌医。種苗会社に勤務したキャリアを生かし、土作りに関して幅広くアドバイスを行う。
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旬の時期とはひと味違う味わいを楽しめるように遅く収穫する方法、抑制栽培に挑戦してみませんか。中間地では7月中旬~8月中旬に種まきし、種まき後88日程度で収穫できます。8月下旬以降の種まきでは栽培後半の気温が不足し、穂が十分に肥大しません。
[品種]抑制栽培では生育初期が高温で経過するため、早生品種では十分な葉数が展開する前に出穂し、穂の肥大が不足します。そのため、高温期でもじっくり生長する中生品種の「ゴールドラッシュ90」(サカタのタネ)や「おひさまコーン88」(タキイ種苗)などが適しています。
[畑の準備]畑1平方m当たり苦土石灰100gをあらかじめ散布しておきます。1平方m当たり化成肥料(NPK各成分10%)200gと堆肥2kgを全面に施し、土とよく混ぜておきます(図1)。2条まきでは、幅90~100cmの栽培床(ベッド)を作り、ベッドを平らにならした後、地温の上昇を防ぐ白マルチをします。
[種まき・間引き]株間30cm程度、1カ所3、4粒の点播(てんぱ)にし、害虫予防のため防虫トンネルで被覆します(図2)。なお、1、2株の栽培や1列のみでは花粉が不足しやすいので10株以上にまとめて栽培してください。草丈10~15cmで生育の良い1株を残し、間引く苗をはさみで切り取り1本立ちにします(図3)。
[追肥・水やり]1回目の追肥は草丈50~60cmの頃、1平方m当たり100gをベッドの両側に与え、株元へ土寄せします。雄穂が出る頃に同様の量を通路に施し中耕します。株元から2、3本の脇芽が出ますが、特に取り除く必要はありません(無除けつ)。その後、雌穂が2、3本付き、上の1番穂が大きくなるので、これを収穫します。下に付く穂はあまり大きくならないため、残しておいても構いません(無除房)(図4)。晴天が続き水不足となると子実の肥大に影響するため、十分な水やりをします。
[病害虫防除]アワノメイガやアブラムシなど害虫が多く飛来する作型のため、予防的な農薬散布が必要です。雄穂が出る頃にアワノメイガが飛来して、幼虫は雄穂や雌穂(子実)に食い入ってしまいます。雄穂の出始めに登録農薬を株の上から散布します。収穫期には防鳥ネットなどでカラスやハクビシンの被害を防ぎます。
[収穫]収穫適期は絹糸が出てから25日前後ですが、絹糸抽出期以降の気温によって前後しますので、予定日が近づいたら試しむきして、先端粒の張り具合を見て収穫適期を決定します。朝もぎがみずみずしくおいしいので、早朝に収穫しましょう。
※関東南部以西の平たん地を基準に記事を作成しています。
園芸研究家●成松次郎
