お役立ち情報コラム

生活に役立つ情報や営農情報をお届けします

2021年10月

家族の健康 入浴で体を癒やす

 徐々に気温が下がり、農作業でも朝夕は寒さを感じることもあるでしょう。
 そんな寒さを癒やしてくれるのが入浴です。シャワー浴だけではなく、やはり湯につかって温まることがお勧めです。湯に入ると、まず温まる、つまり温浴効果があります。そして、血行が良くなります。体の隅々まで、酸素や栄養分を届けてくれるのは、血管の中を流れる血液です。各部位で生じた老廃物を回収してくれるのも血液です。
 血管を流れる血液は体内の大事なライフラインです。血行が良くなると、血液によって全身に豊富な酸素や栄養が届けられ、老廃物はスムーズに運び去られます。体調管理に温泉を活用するのも良い方法です。各地の温泉ごとにさまざまな効能があります。自宅のお風呂でも、炭酸入りの入浴剤を入れれば、血管が適度に刺激されて血行が良くなります。
 湯につかることで、水圧のマッサージ効果もあります。水の圧力によって、腕や足にも軽い圧力がかかり、血行を助けてくれたり、むくみを解消してくれたりします。農作業などで同じ姿勢を続けていたために、疲れた筋肉も水圧で癒やされます。入浴後に足が軽くなっていることが実感できるでしょう。
 水は浮力もあるので、陸上で立ったり座ったりしているときに体を支えている筋肉も、水や湯の中では小さな力で体を支えられます。つまり、入浴中は筋肉もホッとできる時間となり、癒やし効果が倍増されます。
 夜は寝る90分くらい前に体温を上げておくと寝付きやすくなります。体が温まりそれが冷えていくと眠りやすいので、睡眠の悩みのある人も、夜のゆったり入浴はお勧めです。この時期は40度程度のぬるめの湯につかってリラックス、夜はぐっすり眠りたいですね。入浴後は水分補給を忘れずに。

健康科学アドバイザー 福田千晶

お米で健康 糖の種類と性質

 「糖」といえば、甘い、高カロリー、というイメージがありますが、それは一部分にすぎません。「糖」にはいろいろな種類や性質があります。
 三大栄養素の一つである炭水化物のうち、体内で消化吸収されエネルギー源となる物を糖質と呼びます。炭水化物から食物繊維を除いた物が糖質というわけです。
 糖質は、構造上単糖分子の数によって、単糖類、二糖類、多糖類に分けられます。明確な区分はありませんが、単糖の数が2~20個程度結合されている場合にはオリゴ糖に分類されることもあります。そして糖質の中でも特に単糖類と二糖類を糖類としています。人工甘味料の糖アルコールも糖質の仲間です。
単糖類
 果物や蜂蜜などに含まれるブドウ糖(グルコース)や果糖、乳類に含まれるガラクトースなど。
二糖類
 単糖が二つ結合した糖。砂糖の主成分であるショ糖(スクロース)、麦芽に含まれる麦芽糖(マルトース)、牛乳・乳製品・母乳成分の乳糖(ラクトース)など。麦芽糖や乳糖は血糖値を上げにくいとされています。
多糖類
 ご飯に含まれるでんぷん、デキストリンなど。単糖に比べ血糖値の上昇は緩やかといわれています。増粘性などの性質を持ち、添加物としても広く利用されています。
糖アルコール
 自然界に存在する糖を人工的に製造した糖質系の甘味料。キシリトール、ソルビトール、マルチトール、エリスリトールなど。熱、酸、アルカリに強く反応しにくい、微生物が繁殖しにくい、消化吸収されにくい、といった性質から特定保健用食品に利用される場合も多く、清涼効果を活用し夏の衣類などに添加されることもあります。
 一部のオリゴ糖など甘味のない糖には糖アルコールだけでなく合成甘味料が併せて使われていることもあり、「糖類ゼロ」「ノンシュガー」の表示には注意したいですね。

管理栄養士・フードスタイリスト 大槻万寿美

里山を歩けば  ナショナル・トラスト

 自然を守ろうと思ったとき、どんな方法を思い浮かべますか? 有効な方法に「ナショナル・トラスト」があります。19世紀末の英国では産業革命によって急速に自然や歴史的建造物が失われていました。そのことに危機感を抱いた3人の市民が発案した、美しい自然や街並みを市民自らが手に入れ守っていく方法が、ナショナル・トラストです。手に入れる方法には寄付や買い取りがありますが、その後ろ盾になるような法律まで制定されました。
 日本では1960年代、古都・鎌倉の「御谷の森」から始まり、その活動は全国に広がっていきました。地元の人々が立ち上がり、多くの人に呼び掛けて運動を広げ、寄付を集めて土地を守ってきました。森・磯・海の生態系が一体となり美しい景色をつくり出している和歌山県の天神崎や、富士山のもたらす1日100万トン以上の湧水を水源とする静岡県の清流・柿田川、トトロの森で知られる埼玉県所沢の雑木林や里山群も、ナショナル・トラストで守られています。
 そのようなことをしなくても国や自治体が守ってくれるのでは?と思うかもしれません。しかし、貴重な生き物が暮らす重要な自然地であっても、きちんと保護されていない場所や、国立公園の中の私有地など、開発の恐れがある場所はたくさんあるのです。  日本では現在、50を超える地域でナショナル・トラストが展開されていますが、活動をカバーする法律はありません。この活動は土地を手に入れて終わりではありません。守っていくためには、地域の風土をよく知る地元の方々の活動が不可欠です。しかし、そのような土地にも、ほとんどの場合は税金がかかってしまいます。この先もずっと自然を残すため、地域の人々の活動を支えるための法律や仕組みが求められています。

●日本生態系協会

季節の室礼  五穀豊穣

 収穫の秋が一区切り、紅葉が美しい季節になってきました。やがて本格的な冬が到来します。日本古来の収穫祭には神嘗祭と新嘗祭があります。神嘗祭は10月にその年の初穂を奉納する神事。新嘗祭は11月にその年の新穀を奉納する神事で、現在は勤労感謝の日になっています。本来はこの日まで新米を食べないのだそうです。とはいっても近頃は新米の時期が早くなってきているので、食欲の秋にはあらがえませんね。
 小さな子どものいる家庭では、ドングリ拾いもこの時期の楽しみの一つでしょう。でも、中に虫がいることも……。水にドングリを入れて浮かんできたら虫がいる、沈んだら虫がいない、といわれています。煮沸または冷凍して、その後しっかり乾かせば、工作などの遊びに使えます。
 紅葉狩りに行ったら訪れた場所の思い出に、美しい落ち葉を「押し葉」にしましょう。室礼飾りにも取り入れられますよ。この時期は「実もの」や「つるもの」の植物を生けると風情が出ます。山帰来や野イバラはそのままドライにすると長持ちします。収穫に使うような籠に無造作に入れても絵になりますね。曲線を描くように、枝を好きな方向に絡ませるといいでしょう。
 下には落ち葉や木の実を散らして、秋の風に吹き寄せられた「吹き寄せ」を演出してみてはいかがでしょうか。

和文化講師●滝井ひかる


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