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ライフ 2024年7月

お米をおいしく楽しもう お米を食べるとどんないいことがあるの?

 みんな、お米は大好きだよね? 小池さんはお米屋さんを10年以上やっているけれど「お米なんて嫌い!」なんて人は、大人も子どもも一人も会ったことがありません。
 でも実は、お米はおいしいだけではありません。お米を食べると、とってもいいことがあるんだ。
 例えば、お米を食べると脳みそがよく働きます。
 お米はほとんどがでんぷんで、食べると口やおなかで消化され、体を動かすためのエネルギーに変わります。特に脳は、でんぷんを消化してできるブドウ糖という栄養素をエネルギーにしているんだ。だから朝ご飯を食べないと学校の授業に付いていけない、というのは本当なんだね。
 でんぷんは脳だけではなく、体を動かすための大切なエネルギー源なんだ。小池さんは普段はお米を担いで体をものすごく使います。だから朝や昼にお米をたくさん食べないと、力が入らなくて仕事にならないんだ。それにお米の場合は粒で食べるからゆっくりと長い時間をかけて消化されるので、短時間でエネルギーが切れることがないんだよ。
 みんなの体をつくるもとになる栄養素をタンパク質といいます。みんなの体が大きくなるには欠かせない栄養素なんだ。お肉に多く含まれているけれど、実はお米にも含まれています。お茶わん1杯(150g)のご飯で卵半分のタンパク質が含まれています。実はタンパク質は一度にたくさん吸収できないので、お肉ばかりをたくさん食べても駄目。お肉とお米をバランス良く食べることによって、タンパク質をしっかり取り込めるんだ。
 子どもはたくさん体を動かすから、水分が不足しがち。でもお米は約60%が水分なので、お米をしっかり食べることにより、暑い季節の熱中症予防にもなるんだよ。
 お米はおいしい……だけではなく、みんなの体の健康を支えてくれる優れものなんだね!

五ツ星お米マイスター●小池理雄
小池精米店三代目店主。1971年東京・原宿生まれ。大学卒業後、出版社、人事制度コンサルティングファームなどを経て、
2006年に小池精米店を継ぐ。それまでの社会経験を生かし、新しいお米屋さんのあり方を常に模索している。

なくそう食品ロス 精米後1ヶ月で棚から撤去する米

 スーパーで売っている米は、精米して1カ月たったら商品棚から撤去しているそうです。最初に聞いたのはあるスーパーを取材したときでした。理由は「古いから」。近隣にフードバンクができてからはそちらに寄付しているそうです。
 別のスーパーでも、精米して30~40日たった米は撤去していました。以前は、精米年月日が表示されていましたが、最近では「旬」表示になっています。例えば「2024年10月初旬」といった具合です。そのスーパーでは「初旬」は1~10日、「中旬」は11~20日と考え、30~40日たったら処分しています。捨てずに社員に販売している店舗もあれば寄付する店もあるとのこと。
 私の義父母は長野県で米と野菜を作っています。収穫した米は玄米の状態で保管し、食べる前に一定量を精米しています。精米して1カ月で捨てることはありません。
 食品業界には「3分の1ルール」という商慣習があります。賞味期間を3分の1ずつに区切り、最初の3分の1でメーカーはコンビニなどの小売へ納品し(納品期限)、次の3分の1で小売は販売を終える(販売期限)というものです。例えば12カ月の賞味期限であれば、製造して4カ月が納品期限、8カ月が販売期限となります。まだ賞味期限が4カ月以上残っていても販売できなくなるのです。
 1990年代に大手スーパーがこのルールを作り、他のスーパーも追随しました。これにより、2013年には年間1200億円以上の損失が生じていました。その後、ペットボトル飲料や菓子の納品期限を3分の1から2分の1へと延長する動きがあり、今では年間400億~500億円のロスに減りました。それでも、法律ではない商慣習によって食品ロスが生じているのです。
 農家が丹精込めて作った米を精米して1カ月で捨てるルールはなくなってほしいと強く願います。

食品ロス問題ジャーナリスト●井出留美(いで るみ)
株式会社office3.11代表取締役。博士(栄養学/女子栄養大学大学院)修士(農学/東京大学大学院農学生命科学研究科)
『食べものが足りない!』『SDGs時代の食べ方』『捨てないパン屋の挑戦』など著書多数。

おいしく食べて美しく おいしく食べて梅雨の体調不良対策

  夏になると下痢、食欲不振、胃もたれなどの不調が現れることがあります。原因は、冷たい食べ物や飲み物の過剰摂取で胃腸が冷え、機能が低下するためです。今回は夏の胃腸トラブル対策にお薦めの食べ物を二つお伝えします。
■ 夏ダイコン
 夏ダイコンには、さまざまな消化酵素が豊富に含まれています。でんぷんの消化を助けるアミラーゼ(ジアスターゼ)、タンパク質を分解するプロテアーゼ、脂質を分解するリパーゼなどが含まれているため、夏の胃腸トラブル対策にお薦めです。夏ダイコンには染み対策として、コラーゲンの合成には欠かせないビタミンCも含まれています。美肌になりたい方にもお薦めです。温かいご飯に大根おろし、しらすをのせて食べると暑い夏でもおいしく食べられます。
■ スズキ
 スズキは低脂肪の白身魚のため、胃腸に負担がかかりにくいです。サバ、牛肉などの脂質が多く含まれる魚や肉は、消化に時間がかかってしまいます。下痢、胃もたれなどの不調があるときは控えると良いでしょう。スズキには、糖質の代謝を助けるビタミンB1が含まれており、不足すると疲労物質の乳酸が体内に蓄積されてしまいます。エネルギーの代謝が活発になれば体の機能も高まり、夏バテに負けない体になるでしょう。胃腸の不調があるときは、煮る、蒸すといった調理法がお勧めです。料理が苦手な方は、耐熱皿にスズキをのせ、少量の酒を振り、電子レンジで加熱すると手軽に食べられます。
 暑い夏は、かき氷、アイスコーヒー、ビール、そうめんなど、冷たいものを取る人も多いでしょう。しかし、過剰に取ると胃腸のトラブルを招くため、日々の食事にみそ汁などの温かい食べ物を取り入れるようにしましょう。おいしく食べて元気に暑い夏を乗り切りたいですね。

栄養士●吉田 理江(よしだ りえ)
飲食店勤務後、料理研究家のアシスタントを経て独立。栄養指導、健康・ダイエットレシピの作成やコラム執筆、セミナー講師など幅広く活動中。
薬膳アドバイザーやアンチエイジング料理プランナーなどの資格も多数取得。

お天気カレンダー 熱中症特別警戒アラート

 熱中症への警戒を呼びかけるために、2021年から環境省と気象庁は「熱中症警戒アラート」という情報を運用しています。今年の夏からは、新たに「熱中症特別警戒アラート」の運用が始まりました。気温や湿度、日射などから計算される暑さ指数を基に発表されます。都道府県内の全ての情報発表地点で、暑さ指数が35以上と予想される場合に出されます。過去にこの条件を満たした日はなく、まさに過去に例を見ない暑さになるときに出る情報です。
 熱中症特別警戒アラートが出た場合は、学校の校長や会社の経営者、イベントの主催者などの責任者が運動やイベントの中止、リモートワークへの変更などの判断が求められます。工事現場や農作業なども、徹底した熱中症対策が必要になります。近年は、気温が40度以上になる日も増えるなど、暑さのレベルが以前とは違ってきています。


気象予報士・防災士 檜山 靖洋(ひやま やすひろ) 1973年横浜市生まれ。
明治大学政治経済学部政治学科を卒業後、印刷会社に就職。
1999年に気象予報士を取得し気象会社へ転職。 2005年からNHKの気象キャスターに。
朝のニュース番組「おはよう日本」の気象情報に出演中。

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