お役立ち情報コラム

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ライフ 2025年1月

お米をおいしく楽しもう お米は「ごみゼロ」のすごい作物!

 みんなも学校で習うように「ごみ問題」は大きな課題ですね。地球がいくら大きいとはいってもその資源には限りがあります。だから今、私たちが使っているものを大事に使って無駄をなくすことこそ、地球環境を守ることにつながるんだ。そういったエコな視点から見ても、お米って実はすごい食材ってことが分かるよ。
 実際に、どれだけすごいのか見てみよう。まず、炊きたてのほかほかご飯。ご飯粒は魚のように骨があるわけではないから、捨てる部分がなく100%食べられる食材なんだ。
 他には「ぬか」。玄米を精米した後に出てくる、一見、使い道がなさそうなこの茶色い粉も捨てません。ぬか漬けや米油の原材料として、そして最近はインク・化粧品・せっけんにも使われているんだ。
 産地では稲刈りした後にわらやもみ殻が出るけれど、これらは田んぼにまけばそのまま肥料になります。
 それ以外にもわらはカツオのたたき、園芸で使う敷きわら、神社で使うしめ縄、大相撲の土俵で使う俵など、もうあちこちで使われます。もみ殻はリンゴやカニを箱で運ぶ際にその中に敷き詰めて食材が傷付かないようにするし、最近ではキャンプで使う「もみ殻燻炭(くんたん)」という燃料になったりします。
 収穫されたお米が全て私たちの食卓に上るわけではありません。お米は「農産物」なので、実はお米粒の大きさや品質はばらばら。その中で「あまり良くない米粒」は、捨てるのではなく、せんべいや酒の原料などになっているんだ。
 精米すると、砕けたお米や黒い斑点が付いたお米など、ぬか以外のものも出てきます。これらはスズメの餌になりますし、最近ではぬかでお菓子を作る人も出てきました。
 このように、お米からはごみが出る余地がほとんどありません。そう、「ごみゼロ」な食材なんだね。

五ツ星お米マイスター●小池理雄
小池精米店三代目店主。1971年東京・原宿生まれ。大学卒業後、出版社、人事制度コンサルティングファームなどを経て、
2006年に小池精米店を継ぐ。それまでの社会経験を生かし、新しいお米屋さんのあり方を常に模索している。

なくそう食品ロス 恵方巻

 2月は恵方巻きの季節です。
 大好きなすしが、売れ残って捨てられていると知ったのは2016年の2月3日でした。一方で、この日、フランスでは世界初となる食料廃棄を禁ずる法律が成立したのです。当時のSNS(会員制交流サイト)では「フランスは素晴らしい」「日本はどうなってる」と、ごみ袋に入った大量の恵方巻きの写真が投稿されていました。
 17年に初めて恵方巻き廃棄の記事を書きました。スーパーでは奥にキッチンがあることが多く、客の入り数や在庫を見ながら売る数を調整できます。でも、コンビニではほとんどの店にキッチンがなく、発注しただけ商品棚に並べなければならず、売れ残りが多く発生する、といった内容でした。
 19年から、毎年節分の日に、スーパーやコンビニなどで売れ残っている恵方巻きの数を調査し記事を書くようになりました。大学生や高校生、最近では社会人の方や遠方の方なども参加してくださっています。
 24年2月には、恵方巻きの売れ残り調査に関し、BBC(英国放送協会)の記者から取材を受けることになりました。私の活動を長年見てくださっている大学の先生が記者に推薦してくれたのです。
 24年3月に記者が来日し、一緒にコンビニを訪問し、インターンとして調査に協力してくれた高校生にも声をかけ、取材を受けてもらいました。BBCの記事は24年6月に英語と日本語で発信されました。記事が出た後、オーストラリアの記者から別の取材を受けるなど、反響がありました。
 「食品ロスを減らすと経済が縮む」「売り上げが減るから食品ロスは減らすな、必要悪だ」という意見があります。でも、食品ロスを減らしながら売り上げを増加させたスーパーやパン屋、回転ずし屋などの事例はいくつもあります。
 売り上げを増やしても、その裏で恵方巻きを大量に捨て続けていたら、福が来るどころか、逆に罰が当たると思うのです。

食品ロス問題ジャーナリスト●井出留美(いで るみ)
株式会社office3.11代表取締役。博士(栄養学/女子栄養大学大学院)修士(農学/東京大学大学院農学生命科学研究科)
『食べものが足りない!』『SDGs時代の食べ方』『捨てないパン屋の挑戦』など著書多数。

お天気カレンダー ホワイトアウト

 「一面の銀世界」と表現されるように、街は雪によって美しい景色に変わります。ところが、強い雪や風は美しい世界を危険な世界に一変させることがあります。
 吹雪によって視界が白一色になり、地面も空も見分けがつかず、雪以外に識別できるものがない状態になることがあります。「ホワイトアウト」と呼ばれる現象です。特に起きやすいのは、周りが開けた平らな道、峠道、路肩に積雪がある道です。
 車の運転中に発生すると、他の車や障害物が見えなくなり、非常に危険です。「ホワイトアウト」により方向感覚もなくなり、自分のいる位置が分からなくなります。道に迷い、数十mしか離れていない家にもたどり着けなくなることもあります。長い時間、吹雪にさらされると体温を奪われ、命の危険もあります。
 特に、猛烈に発達する低気圧が通り、冬型の気圧配置が強まるときは、不要不急の外出はしないようにしましょう。


気象予報士・防災士 檜山 靖洋(ひやま やすひろ) 1973年横浜市生まれ。
明治大学政治経済学部政治学科を卒業後、印刷会社に就職。
1999年に気象予報士を取得し気象会社へ転職。 2005年からNHKの気象キャスターに。
朝のニュース番組「おはよう日本」の気象情報に出演中。

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